エネルギーがあれば何でもできる

 物理的に可能ならね。
 さて、工業社会の長期的存続のためにはエネルギーが必要で、そのパワーソースが核融合であるということは既に常識ですが、そのために必要なものはダイソン殻か超伝導コイルか大出力レーザーです。大体2035年ごろに商業炉ができる予定ですので、それまでは燃料電池とか代替燃料でしのいで下さい。必要なら意図的な工業化の遅延を併用するとよいでしょう。まあ2010年から2015年の間のどこかでグリッドパリティ、即ち太陽電池導入の総コストが電力料金を払い続けるコストと同等になる状態を迎えるそうですから、その後の心配をしなくてもいいのかも知れませんが。
 燃料電池は各社が2010年に年間数万台とか十万台以上とかの生産を立ち上げるらしき話がでてきてるので、まあ大丈夫です。これによって東電等の電力小売が困ったことになるでしょうが問題ありません。
 化学工業の方もかつて石炭化学工業があったように、採算が取れるならば別原料へ移行可能ですから心配しないで下さい。
 少し振り返ってみて下さい。1942年。シカゴ・パイル1号炉が臨界に達したときのことを。確かにその後建設されたプルトニウム生産炉は、トリニティ実験や、ファットマンや、たくさんの核弾頭の原料を生み出しました。七万余の人を実際に殺し、今も存在する数億の人間の頭上へ投射されるかも知れない死の可能性になりました。
 いやそんなことが言いたかったんじゃなくて。何かってエネルギー事情はここ半世紀で大きく変わってきたと。石油の時代はたかだかここ60年だと。ならば後50年後は石油の時代でなくなってることも有りうべしと。私はそう思ってます。そしてエネルギー問題の解消によって中東問題の最終的解決が到来すると。そういうこと。

 えー、今見たスケジュールだとITERのファーストプラズマが2018年だそうですので、発電実証炉のDEMOが2030年前後になるでしょうか。はい。コストは今の原発程度だそうです。負荷追従も可能(多分)。5GWとか書いてあるWikiは嘘です。そういう設計案ではなかったと思うます。
 レーザーもほぼ同程度のスケジュールで進行するといいな、的な。15kWの軍用半導体レーザーも既にあるようですので、パルス1MJのシステムを組むこともきっと予算内でできるようになっていくでしょう。
http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2005_09sup/jspf2005_09sup-93.pdf
 ここらへんで読んだ話だと増倍率が200なので、発電炉では1秒間に200MJの爆発を4回起こすようなシステムになるそうです。これはTNT火薬50kgが秒間4回って感じですね。炉壁の耐久性が難しそう。
 さあ、これで核パルス推進ももうSFではなくなっていくんですね。

 ところでジャイロトロンがありますね。あの原子力機構がダイヤモンド窓作って高出力化に成功したことで記憶に新しい、あれ。ITERのプラズマを温めるのにも採用された、1MWくらい出る奴。あれを千本並べると、マイクロ波推進で軌道までトン単位のペイロードが上げられます。ってその道の人が言ってた。マイクロ波の方がレーザーより低コストかもよ、って。既に存在する技術で大体のシステムは構成できるって。まあマイクロ波でちゃんと飛ぶ実用スケールの宇宙機はまだないけど。必要予算の中に占める電源のお値段が大変なことになるらしいけど、数百回の打ち上げを前提とするなら化学ロケットよりペイするはずだって。
 こういうものは装置自体より電源の値段の方が高いらしい。