大日本帝国三.〇

 説明するまでもないが現体制が二.〇。いや、二.三くらいか。国体護持のために、言葉が古ければ国家の長期的存続のために、日本は文化帝国主義政策をとるべきであると主張する。日本にろくな文化なんかないじゃん、という者もあろうが、文学や美術等は微妙だし、礼儀も最近どうかと思うが、学術は見るべきところがあろう。工学とか。サブカルは山盛りあるし、衣食住言語において独自性がある。経済もだいぶあれか。アメリカを見てみればよい。大したハイカルチャーなどない。あるのは経済力と科学力と技術力と軍事力と外交力と宣伝力と、充分じゃねえか。流石覇権国だ。まあそれで、今日の情勢では、移民がいっぱい来て日本の伝統が、とかがたがた言ってる場合ではない。伝統が薄まっていくなら足して濃くすればいいじゃない。さらに物量をもって増倍させればいいのである。何がいいのかは後で議論する振りをして忘れておく。何をおいても文化の伝達に重要な要素は言語なので、2055年までに日本語人口を11億人にするというRingo先生の案を支持したい。従って今すぐOLPCとか類似のプロジェクトに関与してODAをばら撒きつつ日本語教育のアプリをねじ込むのだ。大量の漫画や文書や映像のアーカイブも整備するとよい。無論各国の文化宣伝合戦になるだろうが、それでいい。自由と国家社会主義の帝国である所の日本は、適当な仕事をすれば一定数の、まあ途上国の3割くらいの若年層を持ってこれるとしてみよう。えー、途上国の若年人口は13億か14億のはずだから、ま、まずは4億人くらいの獲得を目指すべきだろう。単純費用約4兆円、まあ5兆円としてもODAの約6年分である。20年計画とすれば充分説得的であろう。かくしてより世界はより豊かになるはずだ。無論一人100ドルのパソコンをあてがって初等教育ができれば苦労はしない。だがまずは食料、次いでテキストだ。はてな村に数百万の新人が流入する所を想像してみればいい。ニコ動でもいいが。適切なコースが構築されていれば、善意と悪意のボランティアの手を借りて中学校程度までは概ねいけるはずだ。指輪世界の人のここらへんに書いてあるが、かつて人々は二次大戦を可能ならしめたみずからの教育能力に恐怖した。日本でいえば臣民教育だ。でも今や先進国はあのように非道なことをする必要がない。従って我々も、もう子供を腫れ物のように扱って、決して教育の結果を自らに引き受けないなどという非合理的なことを止めるべきだ。子供であっても、これは契約なんだと理解させ、理解しているかどうかはともかくとして判子を押させればよい。お前にも、お前の親にも、国家にも利益がある。従って三者はそれぞれ教育を授受することに合意したんだから、書式に書いてある分だけ責任を三者が負う。それ以上のことは知らぬ、と。我々は訳も分からず慣習的に過去を恐れ過ぎている。恐るべきものを恐れるならともかく、それは知らぬが故の恐怖だ。恐怖を味わうといい。その解発因が何であるか理解できるはずだ。私は当時の政策をあまり評価はしていないが、あの頃の日本は悪かったよね、と言うだけで国際政治という戦いからのがれることはできんぞ。
 白田先生のあれから幾つか拝借しているが、先生は共和主義なのが残念な所だ。ん、原論文では立憲君主制どうこうは書いてなかったっけ。
 目的も手段も正当なとき、いかなる邪な意図があっても問題ではない。
 …実際には、機械翻訳があるじゃん、とか、4億人もの潜在的労働市場を日本は活用できるのかな、とか、文化帝国主義などという体系化されたものはない、とか、重要なことは文化の流通と定着であって日本語人口の増加自体にはない、さらに日本語を覚えたからといって日本人のごとく振舞う訳ではない、とか、文化は一次的には地形や気候や生物群が生ずるものだから、世界のどこにでも文化を全面的に移植できるとするのは誤り、とか、いやこの都市化された日本にあって、そこで流通する文化の多くは移植可能、とか、それにはまず衣食住社会構造を移植する必要が、とか、むしろ今すぐ途上国を工業化して見せろ、とか、そもそも日本は現人口でやっていけるんじゃねえの、等の点について議論していく必要があるがぶん投げておく。単に外務省の仕事の口実を増やしているだけのような気もするが、私が言いたかったのは、日本国籍を持った者だけがいわゆる日本文化の担い手ではない、ということです。文化は国土を離れては生きられない、とするのはある程度正しいのですが、文化と総称される多様なものの中には、国土と言う環境を離れて伝染していくものも確実に存在します。その文化圏なるものの拡大が経済的な価値を生み出すならば、まあ生み出すでしょうが、日本政府はそれにどの程度注力すべきなのでしょうか。望ましい手法は押し付けるのではなく、相手の選択により摂取させるようなやり方でしょう。その種の罠は、日本にも充分備わっています。後はそれを積極的に運用するかどうかです。主要目標はASEAN及びSAARC諸国でしょう。先のばら撒きは日本製の何かが載るなら何にしてもいい政策だと思います。また米英の先例に倣って学生を大学へ呼び込む政策が有用でしょうが、今の外国人奨学制度はちょっと選抜が甘いんじゃないかな。呼んでくることに熱心で、あとは知らぬという印象がある。むしろ教授をもりもり雇用してよいはずだ。このポスドクが余りまくってるご時勢に無体な、と言われるだろうが。…オイレンシュピーゲルのあれは名前から移植しようとしたけど、あの架空の日本政府はなかなか呪術的だな。経済的には微妙なようだが。
 もっというとヒトだけが文化の担い手ではないと考えますが、それはまた別の話。
 個人的な思想といたしましては帝を頂く代議制を支持しておりますが、信仰は引越しをしていながら土着信仰なので、皇統への崇敬は人並みでございます。